道路特定財源制度をつくったのは故田中元首相であり、新潟・長岡商工会議所の有力会員の越後交通の元社長も務めたことがある。議員立法の「道路整備費の財源等に関する臨時措置法案」として1953(昭和28)年に成立。74年からの暫定税率と合わせ、「土建政治」を支えてきた。
越後交通は、路線バスを運行する越後交通は田中元首相のファミリー企業として成長。長女の田中真紀子元外相が相談役、夫の田中直紀・自民党参院議員が会長を務めている。長岡商議所(07年3月現在2253社)の中心的存在で、運送やタクシー業者など127社で構成する運輸・交通部会のトップ企業だ。
同商議所は昨年12月下旬、田中夫妻のほか自民党3人、民主党1人にエネルギー外交強化や石油の安定供給を文書で要望。運輸・交通部会は、意見として「原油価格が安定するまで税率を下げないと、地元の中小運輸業者は生きていけない」と暫定税率の撤廃を求めた。越後交通が一会員の長岡商議所が新潟県選出の国会議員に対し、暫定税率廃止の要望を行ったことは、「政治と会社経営とは別物」ということに他ならない。その意味で、商議所・商工会は政治との関係を見直さなければならない時期なのではないだろうか。
暫定税率の復活は、ガソリン販売価格の高騰を招いており、中小企業者からは「真綿で首をじわじわと絞められているのと同じだ」と本音が出ているものの、中小企業者が集まる商議所レベルになると、本音の声がいつのまにかかき消されてしまうことが多い。
長岡商議所から出た本音を、全国の各商議所・商工会は真摯(しんし)に受け止めなければならない。各商議所・商工会は「財界優等生」と揶揄(やゆ)されている。会員企業の経営が厳しくなる暫定税率の復活を両手を挙げて賛成しているようでは、かえって「会員の本音を分かっていない」として会員の減少に拍車をかけかねない。長岡商議所の要望を「異例」で片付けるのではなく、本音を吐露したのを機に、全国にこの本音を広げ、全面的に支援しなければならないはずだ。
長岡商議所は、07年夏まで暫定税率が支える道路特定財源の堅持を訴えていた。しかし昨年末の企業アンケートで「原油高で原材料や商品の仕入れ価格が上昇した」との回答は90%で、2年前の調査の69%から大幅に上昇する結果となった。「経営を圧迫している」も64%から82%に上がったという。
